イシュトヴァーンによって建国された、ユラニアおよびモンゴールを版図とする新興国家。首都はイシュタール。
国王イシュトヴァーンは事あるごとに遠征を繰り返し、宰相のカメロン一人によって国政が運営されているような不安定な状態にある。そのこともあり周辺諸国からは国家として認知されていない。
ケイロニア
特徴
中原三国の中では最も新しい帝国だが、それでも数百年の歴史を誇っている。統一以前は13の部族が覇を競う未開の地として蔑まれていたが、統一が果たされてからというもの、質実剛健を国是とし、極めて強大な武力と、安定した経済力に支えられた、世界でも最強と目される国の1つとなった。首都サイロンは300万の人口をもつ中原最大の都。
首都サイロンを中心とする広大な皇帝領を、国の重鎮である十二選帝侯が治める領地が囲んで守っているため、国の守りは極めて堅固で、世界で唯一、首都に他国の軍勢の進入を許したことのない国であるとも云われる。幾度となく滅亡の危機を迎えている他の中原二国と比較して、その平和と安定度が際立っているが、そのほとんど唯一の弱点となっているのが、皇帝家の世継の問題である。
基本的に魔道に好感を抱いていないにもかかわらず、首都サイロンには多くの魔道師が集う「まじない小路」があるという、懐の深さを持ち合わせた国である。
軍制面では十二選帝侯の軍事力に加え、首都には12の部隊に分けられた皇帝直轄の強大な常備軍が存在しているという、封建制と絶対王制を合わせたような制度を持っている。なお皇帝直轄の部隊は傭兵が中心であるが、自国の人間が中心となっている為、皇帝への忠誠心は非常に高い。
本編中の歴史
この国が物語の中心に登場するのは、グインが傭兵としてサイロンを訪れた時が最初となる。折しも行われていた皇帝アキレウスの即位三十周年記念式典の際に生じた、皇后マライアによる皇帝暗殺未遂事件をきっかけとして頭角を現したグインは、その事件の背後にあったユラニアをわずか1万の兵で攻略し、ユラニアを屈服させる。
再びユラニアとの間に戦禍が起こったのは、それから間もなくのことである。皇女シルヴィア誘拐事件の背後にまたもユラニアがいることを知ったグインは、今度は大軍を率いてユラニアを攻撃、モンゴールのイシュトヴァーン、クムのタルーとも連合して、またたく間にユラニアの首都アルセイスを陥落させる。
それに続く、グインによる長い探索行の結果、遥かキタイに幽閉されていたシルヴィアは無事に生還を果たし、グインはシルヴィアを妻として皇帝の下で統治を行うケイロニア王となる。まもなくして勃発したパロ内乱に出兵したグインは、キタイの侵略を退ける活躍をみせたのちに行方不明となり、同時に記憶を失ったが、その後保護されたパロで記憶の一部を回復し、ケイロニアに帰還した。
草原
中原の南に広がる、ステップを思わせる広大な地域。文化的には中原とまったく異なっており、多くの部族からなる遊牧民族が暮らしている。地域の北をカウロス公国、南をアルゴス王国の2つの大国が支配し、東にやや小さな国であるトルース王国がある。アルゴスとカウロスが比較的対立関係にある一方、アルゴスとトルースは良好な関係にある。
アルゴス
かつての草原統一の英雄にして、建国王であったスラデクが、国名の由来ともなったパロの王女アルゴを妻としたという歴史的な経緯から、アルゴスはパロと極めて強い関係を築いている。両国の王家は繰り返し婚姻を重ね、アルゴス王家はパロ王家から妻を迎えることが通例となっているため、両家は血筋上も密接な関係があり、パロ王家の婚姻に関する「青い血の掟」も、アルゴス王家との婚姻に関しては問題視されることはない。だが、その婚姻によるアルゴス王家のパロ化が、国内の一部遊牧民族の文化的な反発を招いており、国家の潜在的な不安材料ともなっている。
カウロス
草原の大国。領主は大公ジラール。黒竜戦役では終始、モンゴール側についた。
沿海州
中原の南南東、草原の東にあり、南をレント海に面する、中原のいずれか1国の面積の半分にも満たないほどの大きさの地域。通常、アグラーヤ、ヴァラキア、イフリキア、トラキア、ライゴール、レンティアの6ヶ国が支配する上記地域を指すが、これらの国の西に連なる自治都市や、北に離れた場所に位置するタリア自治領までを含める場合もある。
小国が境を接して密集している地域であるため、上記6ヶ国は自衛のために緩やかな同盟を組んでいる。他地域での戦争に参戦するかどうか、といったような意思決定の際には、各国の元首級が集う「沿海州会議」が開催され、その議論と投票の結果によって、沿海州全体としての意志を統一するというシステムがある。
ヴァラキア
沿海州の公国。イシュトヴァーン、カメロンたちの出身国。現領主ヴァラキア公ロータス・トレヴァーンは名君として名高いが、その弟オリー・トレヴァーンは男色家の愚物として知られており、人々の物笑いの種となっていた。
アグラーヤ
沿海州最大の王国。現国王ボルゴ・ヴァレンの長女アルミナはパロ前王妃。
ノスフェラス
中原の東に広がる極めて広大な砂漠地域。中原とはケス河で接し、東は東方の大国であるキタイに接する。地域全体を放射能を思わせる瘴気が覆っており、それが原因となってか、極めて特異な植物相、動物相を持つ地域である。この地域に代表的な特異な動物の例としては、巨大なアメーバ状生物であるイドや、全身が巨大な口となっている大食らい(水棲のものは大口)などがある。その瘴気の影響はケス河にまで及び、ケス河畔の中原側に位置するルードの森の生態系にも影響を及ぼしているとするものもある。特に中心部に位置するグル・ヌーと呼ばれる地点は極めて瘴気の濃度が高く、ごく一部の魔道師や、その力を借りた者を除いては、グル・ヌーに達した後に生還を果たした者はいない。
苛酷な環境ゆえに人は居住していないが、セム族とラゴン族という亜人類が生活している。尻尾を持ち、人間の半分程度の身長しか持たないセム族は、いくつかの部族に分かれ、比較的ケス河に近い地域を居住地としており、時としてケス河を渡り、中原の辺境を訪れることもある。逆に尻尾を持たず、身長は人間の1.5〜2倍程度もあるラゴン族は、比較的奥地を居住地としているが、長く一ヶ所に定住することはない。そのため、まず中原の人間の目に触れることはなく、「幻の民」と呼ばれる所以ともなっている。
カナン帝国
現在のノスフェラス、中原、キタイ全土を版図としていた古代の大帝国。大災厄時代後に、太陽王ラーによって建国され、長きにわたって世界に君臨し、その繁栄は現在の中原のどの国をもしのいでいたといわれる。この時代に植民都市であったアルセイスなどが建設され、また現在もキレノア大陸の重要な交通網となっている赤い街道の建設が開始された。カナンが繁栄の絶頂にあった約3000年前、星船が帝都カナンに墜落、大爆発をおこし、カナンは一日にして滅亡した。
東方
中原からノスフェラスを挟み、遥か東方に広がる地域。ほぼ全域を大国キタイによって支配されており、フェラーラなどいくつかの周辺国も、キタイの属国であると考えて差し支えない。中原やその近隣では、パロを除いて重視されなくなった魔道が、未だ生活にも政治にも密着した地域である。人種的には黄色人種が支配的であり、その一部は中原へ移民して、クム建国の礎となった。
キタイ
東方のほぼ全域を支配する、世界一とも云われる大国。商業大国として知られるが、地理的な条件から、中原との交渉はさほど活発ではない。そのため、その実態も中原ではあまり知られておらず、謎の大国と呼ばれることもあった。中原で暗殺教団として知られている組織として、望星教団がある。
近年になり、極めて強力な魔道師ヤンダル・ゾッグが帝位に就いたことをきっかけとして、その野望の手が様々な形で中原を脅かすこととなった。そのターゲットとなったのは主にパロであり、魔道によってパロ国王レムスを傀儡化することにより、パロを通じた中原の征服を目論んでいた。だが、ナリスやグインの活躍、さらには望星教団を中心とするキタイ国内の対抗勢力の強大化などによって、現在は中原からの撤退を余儀なくされている。
近年に遷都が行われるまでの首都はホータンであり、長らくキタイの経済と文化の中心となってきたが、ヤンダル・ゾッグ即位後は急速に治安が悪化し、無法地帯と化した。現在の首都シーアンは、故郷の星への帰還を目指すヤンダル・ゾッグ一族が、その足掛かりとして今なお建設の進む魔都であり、その実態はキタイの国民に対しては知らされていない。その建設に際しては、多くの国民が犠牲となっており、シーアンへ動員されることが、国民の恐怖の的となっている。
フェラーラ
人間と妖魔が共存するキタイの属国。ホータンに遷都されるまではキタイの首都であり、その後も歴代の王たちから魔都として特別扱いされていた。
北方
中原の北に広がる地域。一年の大半を氷雪に覆われる寒冷地。最大の国は、上ナタール川でケイロニアに接するタルーアンで、そのさらに北にはクインズランド、ヴァンハイム、ヨツンヘイムといった国があると云われる。タルーアン人は紅毛碧眼の白色人種で、男女を問わず大柄な人種として、また時として海賊も働く海洋民族として有名である。
ヨツンヘイム
最北の地にある地底王国。齢千年を数える氷の女王クリームヒルドに治められ、その入口を地獄の犬ガルム、霧怪フルゴル、地獄の大蛇[1]によって守られている神秘の国。
セッサカー リネーム ソテー トラック きょうお チップ ゴブラン サンファ デリバリー プレー スパンキ ラシン カーレース シリコンウ リテーラー フォワ フラン アデニ ジャケット コスミド クロロ いいだこ ニポポ あしべつ ファゴット トニア ソックス スンニ ロジカル ほうゆう むろね ヒッピー バックホ リラックス せれべす かばん ライ麦 ツアー わらぐつ チャクラ カード キミと僕 ハーフマラ ももいろ コータロウ スンダ 恋模様 ターボ カゼイン メルシ
南方
沿海州の南に広がるレント海、コーセア海に浮かぶ南洋諸島と、そのさらに南に位置する南方大陸を含む地域。ゴア、テラニアなどの島国、ランダーギアなどの大国が含まれる。人種としては黒色人種である。地理的な条件から、中原との交易はほぼ沿海州を通じてのものに限られるため、中原との直接の交流はほとんど見られない。
ハイナム
中原の西に位置する、パロと同時期に建国されたとされる謎の太古王国。独特の蛇神教を信仰しているといわれる。かつては諸外国とも交流があったが、現在では各国の王の即位式などに派遣される使者を除けば、ほぼ鎖国状態にあり、その実態は謎に包まれている。白魔道師「ドールに追われる男」イェライシャの出身地としても知られている。
世界観(文化)
物語世界の文化・文明の程度としては、おおむね現実世界における中世程度のものであると考えられる。ただし、火薬は存在しないようである。他に現実世界に存在しない要素として、いくつかの地点に存在する、古代から伝わるとされる謎の超文明の遺物や、精神・次元・時間を操る魔道と呼ばれる技がある。
歴史
この世界の現状をもたらすに至った直接の原因は、三千年前の災厄にまで遡ると云われる。当時、世界はカナンと呼ばれる大帝国によって統一されていた。その頃、すでに文化・文明の程度は現在と同程度にまで達していたと云われており、現在でもカナンで用いられた様式を基本とする文化・文明が、何よりも洗練されたものとして尊重されている。
そのカナンを一夜にして滅亡させたのが、首都カナンに墜落した巨大な隕石であったと伝説は伝えている。が、実際には墜落したのは隕石ではなく、星間戦争を行っていた惑星外文明に属する巨大な宇宙船(「星船」と呼ばれる)であった。墜落した星船は大爆発を起こし、爆心地に近い多くの人々の命が奪われた。また、大爆発を生き延びた人々のほとんども、爆発した星船の動力部から漏れたらしい強い瘴気(放射能と思われる)によって、間もなく命を落とした(外伝第16巻『蜃気楼の少女』参照)。その爆心地は、誰も近づくことはできぬ地グル・ヌーとなり、それを中心とする広大な地域が、特異な生物相を持つ砂漠ノスフェラスへと変貌した。ノスフェラスに暮らすセム族、ラゴン族は、この時に辛うじて生き残った人々が、瘴気の影響によって変化したものであるとも云われる。
この災厄により、キレノア大陸は事実上、ノスフェラスによって東西に完全に分断された。またカナン帝国の滅亡によって、中原に新たな国が起こることとなった。そのもっとも古い国がパロ王国であり、それから間もなく興ったゴーラ帝国と長らく中原の覇を競うこととなる。さらに数百年前には、多数の部族に分かれ、北の蛮族と蔑まれていたケイロニアが帝国として統一され、現在の中原三大国体制が形成されることとなった。
魔道
魔道とは、精神力を鍛えることによって、対象となる精神・次元・時間に作用を及ぼし、それを操ることを可能にした精神科学である。パロ王家など一部の人々は、さほど厳しい訓練を行わなくとも、ごく初歩的な魔道を使うことはできるが、基本的には、極めて特殊な食生活と厳しい訓練を行うことにより、肉体と精神とを同化させることによってのみ、使用することが可能となるものである。それにより、信じがたいほどの長命を得たり、まったく精神的なものとして存在することすら可能となる場合がある。魔道が使えるようになった者のことを一般に魔道師と呼ぶ。
魔道の技
精神に作用する魔道の代表的なものとしては、結界(けっかい)がある。これは、精神的な場を張ることによって、人々の精神に作用し、ある場所へ行くことを禁じたり、あるものを知覚することを妨げたりする技である。一般人に対しては精神的に作用するが、魔道師に対しては物理的な障壁として作用するものとなる。また、黒蓮の粉などの薬物を用いた催眠術も、広く使用される精神に対する魔道である。
次元に作用する魔道の代表的なものとしては、閉じた空間がある。これは多数重なり合って存在する次元を、精神の作用によって行き来することによって、遠方まで短時間で移動したり、他人に気配を気取られることなく監視を行ったりする技である。後者の場合には、結界をあわせて使用することも多い。この技は、パロに古くから伝わる古代機械と呼ばれる物質転送装置の原理を研究する内に、魔道師が見いだした技であると云われる。
時間に作用する魔道の代表的なものとしては、予知がある。これは文字通り、未来を予見する力である。だがその力を行使するには、神々が世界を司る黄金律を乱すことを戒める厳しい制約がある。そのためか、魔道師がその予知の内容を他者に告げる時には、極めて曖昧な物言いに終始することが多い。またパロ王家の女性には、生まれながらにして優れた予知能力を持つ者もいるが、こちらは魔道師とは違い、神がその女性を道具として語るものであるとされている。従って、本人の意志とは関係なく予知が行われることも多い。
魔道師
魔道師は大きく、白魔道師と黒魔道師に分類される。
白魔道師とは、古の超科学者アレクサンドロスとの戦いに敗れた魔道師たちが、魔道の悪用を禁ずるために定められた魔道十二条を守ることを誓約することによって誕生した一派である。彼らは魔道師ギルドと呼ばれる団体によって律され、魔道十二条に背いた者はギルドによって厳しい罰を受けることとなる。その総本山はパロにあり、ゆえにパロに仕える魔道士(魔道を以って士卒として国家に仕える魔道師)のすべては白魔道師である。[2]
一方、黒魔道師は魔道十二条に縛られない魔道師を指す[3]。制約が少ない分大きな力を発揮できるが、その多くは独立しているために、ことに白魔道師の力の大きい中原においては、黒魔道師は個人の力が大きくなければ生き延びられないという一面もある。キタイの魔道師の場合、ある種の魔道師ギルドは存在する[4]ようだが、そもそも地理的、歴史的にアレクサンドロスの誓約とは無関係に発展したため、すべては黒魔道師に分類される。かつては黒魔道師を束ねる組織として、グラチウスが創設し、白魔道に転向する以前のイェライシャも最高幹部を務めたドール教団があるとされたが、近年ではグラチウス自身も教団を離れたといわれ、教団の存続自体が疑問視されている。